二郎の日記

スキー&スノーボード2004-2005

Jカーブの嘘

 2005年に、意見交換の広場にJカーブについて書き込みました。もう、時間が経過しているので、Jカーブそのもをご存じない方々もいらっしゃるのではないでしょうか?

 Jカーブとは下図に示す、横軸に飲酒量をとり、縦軸に平均寿命に対する相対値をとったカーブで、少量の飲酒であれば、寿命を延ばす効果があると言うものです。
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 お酒の「Jカーブ」効果を検証した調査は、ACSH(American Council on Science and Health、米国保健科学協議会)のレポート(1993年6月)があります。ACSHは、各国の医学関係者、研究機関による研究報告を集約、分析した結果、「適量の飲酒は全死亡率を低下させ、健康にプラスである。一方、過度の飲酒は死亡率を大幅に上昇させる」との結論をまとめています。但し、アルコールの許容量には個人差があること、また「適量」の概念があてはまらないケースがあること(アルコール依存症者や薬物乱用者、飲酒運転、未成年者、妊婦、その他)に留意すべき、とも指摘しています。

 なお、ACSHによれば、「Jカーブ」のデータは、もともと飲まない人に飲酒を勧めるものではなく、過剰飲酒の人達に適量を推奨するもとされています。

 しかし、私はJカーブを求めた統計の母集団に疑問を持っています。

 アルコール摂取量と健康の関係を調査するなら、人種を区別しなければ意味が無いと感じたのです。白人や黒人の場合、遺伝子の関係で殆どの方がお酒を飲める体質です。そこにモンゴロイドを入れてごちゃ混ぜにした統計量であれば、統計として問題があります。出来れば、アルコールバッチテストぐらいは実施して、その結果を反映した調査をしなければ、人によっては有害な情報になってしまうと思うのです。

 このJカーブ効果はもともと飲まない人に飲酒を進めるものではなく、大量飲酒の人に適量を勧めるもののはずなのですが、酒飲みにとっては「酒は百薬の長」のお墨付きを得たような錯覚に陥り、調査の母集団が遺伝子的に飲める体質の人種を対象にしたものであることも忘れられがちです。

 このような統計のトリックに騙されること無く、正しい情報を発信する必要があるのです。

 健康日本21を策定した時にも、このJカーブは引用されており、以下のような文言が掲げられています。これを見ると、上述のような調査が成されることは、当分の間望めそうにもありません。余談ですが、このJカーブを用いた宣伝を行っている方や、厚生労働省のお役人は、その統計量の問題点も充分認識した上で、自分達に都合の好いように使用しているのではないかと私は考えているのです。

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アルコールと健康についての知識

 アルコール摂取量と死亡率の関係を調べた研究によると、男性では1日あたり純アルコール10~19グラム、女性では9グラムまでの者が最も死亡率が低く、アルコール量が増加するにつれて死亡率は高くなることが明らかになっている。
 そこで、「健康日本21」では1日あたり約20グラム、すなわちビール500ミリリットル、日本酒1合、ワイン1~2杯程度が節度ある適度な飲酒であるという立場をとっている。もっとも女性、高齢者、アルコール代謝能力の低い者はより少量が適量ということになるし、飲酒習慣を有さない者にこの量の飲酒を推奨するものではない。今後、こうした知識を普及啓発していくこととしている。
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 私は飲酒量と寿命の因果関係は存在すると考えております。その因果関係をJカーブが表しているとも考えております。

 アルコールは薬物であり、その薬効として心筋梗塞や狭心症など虚血性心臓病には、アルコールに予防効果が確かめられています。虚血性心臓病の危険度は飲酒者の方が飲まない人より低く抑えられるそうです。脳梗塞については、少量のアルコールが予防的に働き、大量になるとリスクを高めるようです。心臓や頸部、手足などの血管の動脈硬化の程度も、飲む人が飲まない人より軽いことが認められているそうなのです。

 適度のアルコールにより虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)などの循環器系疾患のリスクが低下する結果として、Jカーブが示されていると考えております。但し、日本人にとって有益な情報にしようと思えば、海外の情報に頼っていてはいけない、母集団の問題が大きいと考えているのです。

 また、日本人の中でも、お酒を飲める体質の方と、飲めない体質の方を識別して調査しなければ、有益な情報にならないと考えているのです。医師が薬を処方する場合、患者の年齢や体重を参考にして薬量を決定されるそうですが、予防薬なら自分の適正服薬量を、利用者が知らなければ意味がないと考えているのです。

 お酒を受け付けない体質の方では、おそらくJカーブは存在せず、飲酒量と寿命の関係は負の相関しか無いだろうと思います。また、お酒を飲める体質の方であっても、白人や黒人と比べると体格に劣る日本人では、死亡率の最も小さくなる摂取量は異なるはずです。しかし、体格の問題にスポットを当て、(アルコール摂取量/体重)のような指標を採用したのでは、肥満や痩せ過ぎの方に誤解を与えるでしょう。アルコール代謝量を示す指標があれば、それを基準にデータを整理すべきなのです。

 ACSHの調査は海外では有益な情報なのですが、それを日本でも利用できるように独自の調査をしなければならないのに、残念ながら、日本ではその利用価値を高めようとする動きが未だにないようです。
by jirou_ah | 2008-11-29 07:30 | アルコール依存症 | Comments(8)
Commented at 2008-11-30 04:00 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2008-11-30 04:27
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 二郎 at 2008-11-30 04:29 x
非コメさん

回答見えますか?

念のため、お訊ねのURLを公開コメントでも入れて起きますね。

http://www.acsh.org/
Commented by かずきち at 2008-11-30 19:34 x
すみません、非コメになってました。上記acshのHPから目的の論文にたどり着けません。教えてください。
Commented by jirou_ah at 2008-11-30 19:51
かずきちさん
目的の論文は公開されていないようですが、以下のURLで概要はわかると思います。

http://www.acsh.org/healthissues/newsID.823/healthissue_detail.asp
Commented by かずきち at 2008-11-30 22:21 x
話は飛びますが野生動物がアルコールを飲まないのと同じく本来人間にもアルコールは必要ではなかったと思います。
しかし文明の発達とともに食料としての穀物に余剰が出来てからアルコールが出回った。古代遺跡のウルの粘土板に刻まれた「楽しいこと、それはビール。嫌なこと、それは闘いに行くこと」にはうなずけます。
その後ワイン文化で動物としての人間の中でコーカソイドを中心としたグループの中でALDH活性の高いグループが生き延びて今日に至っているのではないでしょうか?
だとしたら毒物としてのアルコールもストレス緩和などの薬品になったとしてもおかしくありません。彼らにとって少量なら長生きというのは本当かもしれません。
一方日本人は明治維新まで酒は限られた特権階級や儀式祭礼などの非日常品だと思いますのでALDH欠損で問題なかったわけです。
 ところがどっこい明治維新以降の発展でアルコールが日常品になったが身体がついていけないというのが僕の仮説です。
DNA研究で人類のルーツだけでなくいつからALDH活性が強くなったかを調べられたら面白いですね
Commented by 二郎 at 2008-11-30 23:20 x
かずきちさん
>DNA研究で人類のルーツだけでなくいつからALDH活性が強くなったかを調べられたら面白いですね
きっと調べることは出来ると思いますよ。でも、お金と時間がかかりますので、そんな研究をする方が出てくるかどうかは、疑問ですね。誰かいないかな~? (^o^)丿
Commented by allaboutattoos at 2014-09-09 02:21 x
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